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マンスリーレポート[8月度]

★マンスリーレポート(8月度)★


 甲子園を離れての恒例の長期ロードは10勝14敗に終わった。
矢野燿大監督は、じりじりと首位との差を詰めていた7月下旬、
勝負の夏を前に「ドラマを起こす」と力強く宣言。

 Aクラス争いも熾烈な中で、スワローズへの挑戦権をかけた他球団との争いでもあった。
しかし、進撃を邪魔したのはまたしてもウイルス。近本光司、中野拓夢、大山悠輔ら主軸が
相次いで新型コロナに感染して離脱を強いられた。中核を欠いた打線は得点力不足に陥り、
奮闘する投手陣を援護できない展開が続き、8月上旬には開幕以来となるドロ沼の8連敗。
指揮官も「(離脱は)どうしようもないんで。いるメンバーで頑張るしか…」と絞り出すしかなかった。

 停滞する間にベイスターズが破竹の連勝で2位に浮上。
タイガースの逆転優勝は厳しい状況にはなった。ただ、苦闘の日々の中で輝きを放った選手たちもいた。
長年、不振に苦しんでいた藤浪晋太郎は再昇格後の4試合すべてでクオリティースタートを記録するなど
2勝をマーク。433日ぶりの白星を手にした8月20日のジィアンツ戦の試合後には「先発で勝つのが
自分の中で一番良いし、心地よい。その瞬間が本当に久々だったので。良い一日、良い試合だったと思う」
とルーキーのような瑞々しい表情で喜びを噛みしめた。

プロ10年目を迎えた右腕のキャリアの浮き沈みを間近で見てきた矢野監督も「スケールの大きな投手なんで。
そういうところでは晋太郎自身のこれからのプロ野球人生を考えても、この1勝が何かにつながれば嬉しい」と
目を細めた。

 そして、もう1人。藤浪の10歳下、昨秋ドラフト1位で入団した高卒1年目の森木大智が8月28日の
ドラゴンズ戦で1軍デビューを果たした。中学生の時から「怪物」と称された豪腕に「緊張」の二文字は皆無。
序盤から落ち着き払った表情で腕を振り、アウトを量産していった。5回まで打たれたヒットは初回の1本のみ。
相手のエース格・柳裕也と互角以上の投手戦を演じて見せた。

少ない好機をモノにされ6回に3失点しプロ初黒星を喫したものの、背番号20から放たれたまばゆい光。
自身の監督生活〝最後のドラフト〟で獲得した逸材の好投に矢野監督も「大したもん。初登板で自分の投球するって
むちゃむちゃ難しいと思うから、落ち着いてね。本当に素晴らしいものを見せてもらったなと思う」と力強くうなずいた。

レギュラーシーズンも最終コーナーに突入した。未来への希望も確かに感じながら、指揮官は最後までタクトを振っていく。
 


▲レギュラーシーズンも残り19試合。矢野監督最後の追い上げが始まる。