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マンスリーレポート[2月度]

★マンスリーレポート[2月度]★

〝最後のキャンプ〟が終わった。

2月28日、矢野燿大監督は朝からノックバットを握りしめていた。
打ち上げの日も行われたメーングラウンドでの早打特守に参加した
大山悠輔、木浪聖也、小幡竜平へ気持ちを込めて白球を打ち込んだ。

「今日の最後のノックも〝あぁ沖縄でもうノックすることもないな〟と。
悠輔や聖也、竜平やそこらへんに何か気持ちが伝わればいいなと。
そういう風に思いながらやれたキャンプだったので、良かったなと」。

 激震から始まった1カ月だった。
キャンプイン前日の全体ミーティングで今季限りでの退任をナイン、
スタッフの前で電撃的に発表。退路を断っての異例とも言える船出には
賛否両論もうずまいた。

「伝えたからって選手にどうしてほしいというわけではないんだけど。
俺も選手たちに後悔のない野球人生を歩んでもらいたいとか、
昨日の自分を超える日々を過ごして欲しいとか言っている中で、
来年はもう監督という立場でここに来ていることはないんだろうな
という気持ちを持って、自分も挑戦していきたい」。
今季を、指揮4年目となる監督業の集大成と位置づけ、
「退任」という終着点に重ね合わせていた。

 ただ、チーム全体に目を向けると、優勝という幸せな結末を迎えるには
解決しなければいけない課題も少なくなかった。

昨季まで2年連続でセーブ王を獲得したロベルト・スアレスが退団したことで
空いた穴を誰が埋めるのか。故障で出遅れた中野拓夢の不在で勃発した遊撃争いは…。
実戦で元気のなかった若手に対しては「物足りない」と厳しい表情を浮かべる場面もあった。

身を引くからといって、選手に当てるシビアな視線は変わらない。「歓喜の秋」という
大きな〝パズル〟を前に幾多のピースをどこにどうはめ込んでいくのか思案する…
そんな沖縄での日々だったように見えた。

 キャンプ終盤、恒例となった1日キャプテン制を糸井嘉男、西勇輝が務めた際には
ベテラン2人のサプライズで「胴上げ」の「予祝」を体現。
サプライズで選手たちが輪監督の体を宙に3回、舞わせた。
「うれしいサプライズで気持ちよかった。考えてくれた嘉男と勇輝にも感謝やし。
そういう思いであの2人も今までも戦ってくれていたし、
今シーズンも戦ってくれているというのは本当に俺にとってはありがたい」。

 有終の美へ、2度と返ってこない1日を懸命に――。
監督は後悔のない采配をふるい、選手たちは悔いのないプレーを積み重ねる。
タクトを置くまでのカウントダウンが始まった。


▲キャンプ最終日の矢野監督(写真:スポーツ報知)

次回の配信は3月末を予定しております。
いよいよ今月開幕いたします!
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