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マンスリーレポート[3月度]

★マンスリーレポート(3月度)★
 

 〝激痛〟を伴う船出になった。

 今季限りでの退任を表明している矢野燿大監督にとって最後のシーズンが3月25日に幕を開けた。
昨年、リーグ最終戦まで優勝を争ったヤクルトとの3連戦。開幕戦は、序盤から流れを引き寄せた。
同点で迎えた3回に糸原健斗が右翼越えの適時三塁打で2者を迎え入れ勝ち越し。4回にも
球団史上最年少での開幕4番を任された佐藤輝明の適時打二塁打、40歳の糸井嘉男の今季1号
2ランなどでリードを最大7点にまで広げた。

 2年連続で開幕投手を務めた藤浪晋太郎も7回まで3失点と粘投。若手、中堅、ベテランの躍動が
結集するエモーショナルな1勝は近づいていた。しかし、終盤に悪夢が待っていた。
8回に斎藤友貴哉、岩崎優が崩れて1点差にまで詰め寄られると、新守護神として期待するカイル・ケラーが
2被弾で瞬く間に逆転を許した。勝利の方程式がいきなり崩壊する敗戦に矢野監督は「出した俺の責任として
受け止めているし、7点差をひっくり返されるのはなかなかないので。これを受け止めながらどう立て直して
いくかを俺がやっていかなあかんやろうし」と厳しい表情でうなずいた。

 2戦目も零敗を喫して迎えた3戦目。悪い流れを断ちきるように先発の新人・桐敷拓馬が力投を披露したが、
打線の沈黙は続いた。開幕戦の8得点が嘘のように2戦連続で無得点に終わり、球団史上初となるホーム開催での
開幕3連敗。指揮官は「桐敷も投げていたし、早い段階での援護というのが理想的なとこやったけど、みんなも
勝負にいった結果なので」と振り返った。17年ぶりのリーグ優勝を目指す1年はあまりにも重苦しいスタートと
なってしまったが、握るタクトを落とすわけにはいかない。「終わったことを軽く流すつもりはないし、良かった
とは全く思えていないけど、終わったことは変えられない。全員でやるかしかない」とチームの指針を確認して前を向いた。

 この3試合、監督は練習前に若い選手が開幕1軍に名を連ねたリリーフ陣を集めて言葉を投げかけ続けた。
「毎日行こうかなと。投手陣を育てなあかんからさ。自分で気づいたところを伝えていくし。マウンドに上がる時の
迷いをなるべく無くしてあげる。ブルペン陣は若いので、そういうところが俺にできること」。絶対的なクローザーだった
ロベルト・スアレスが退団し、経験のある岩貞祐太、有望株の及川雅貴も故障で不在だ。チームの課題は明確で、
1年をかけて強いブルペンに育てていくつもりでいる。

戦いはまだ始まったばかり。監督として残されたすべての時間と力を注ぎ込み、若いチームを「王者」に変ぼうさせる。